かずぽんぬの日記

囲碁、FX、経営学など、様々な日常(日記)を備忘録として記していきます。

科学革命の構造~科学は進歩していない!?~

科学って実は進歩してないの!?

 

こんにちは。かずぽんぬです。

今日は『科学革命の構造』という本を読んだので、

その内容について書いていきたいと思います。

(画像は学校の図書館の本なので、学校名に加工を入れました。)

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この本は、1971年に初版が出された古書なのですが、

科学史だけでなく、

広く学会で議論されている名著らしいです。

「この本を読まずに大学を卒業することはあり得ない!」

と先生がおっしゃるので読んでみました。

 

 

内容を一言で要約すると、

「科学は進歩しているのではない!循環しているのだ!!」

という、なんともショッキングな内容です。

 

 

私達は一般に、科学は先人たちの積み重ねで、

一歩一歩正しくなっていると考えていると思います。

そう。世の中にあると考えられている、

ある正解に向けて、みんな努力しているように。

 

 

しかし、実際は様々な学派が最初は存在しています。

例えば、古来の自然科学では、万物の根源について、

火、水、空気、原子...etc. のように様々な学説がありました。

 

 

そして、科学者は各々が信ずる学説の下で、研究を行います。

つまり、万物の根源が火であるとすると、ある事象はこう説明される。

いや、万物の根源が空気ならば、この事象はこのような説明が正しい。というように。

こうして、各々の信ずる根本的理念の精度を上げる研究を行います。

 

 

ここでの根本的理念を「パラダイム」と

精度を上げる研究を「通常科学」といいます。

 

 

そして、徐々に精度が上がる中で、

様々な要因で最も将来性があるパラダイムが生き残り、

科学界を代表するパラダイムになります。

 

 

今でいうと、アインシュタイン相対性理論など

教科書で習う、基本的理論がパラダイムです。

 

さて、一つのパラダイムが定まると、当然研究は一気に進みます。

なぜなら今まで様々な理論で研究を進めていた科学者が、全員一つのルールの下で、研究(=通常科学)を進めるからです。

 

 

この通常科学のポイントは、パズル解きに過ぎないということです。

なぜなら前提となるパラダイムを疑うことはないからです。

私達も、教科書で習う理論を疑わないでしょう。

やることは、ニュートンの重力理論を使って、物体の速度を求めたりすることです。

 

 

分かりやすく言うと、詰め将棋を考えてみてください。

パラダイム=将棋のルール

通常科学=詰め将棋の問題

だれも根本的な将棋のルールを疑うことはないと思います。

 

 

しかし当然、自然界においては人間の定めたルールでは、答えが出せない時があると思います。

つまり、現状のパラダイムでは問題が解けない時です。

この状態を、「危機」と呼んでいます。

 

 

通常、危機はなかなか起こりません。

皆さんも、一つ問題が解けないだけで、ルールを疑うことはないと思います。

「自分の考えが違うのではないか」

そもそも問題を解くのに情報が間違っているのではないか」

そう考えると思います。

 

 

科学も同じです。

「最初は計測器具の精密さが技術的に足りない」

「実験環境にミスがあるのではないか」

そのように考えます。

そのために、計測器具など周辺技術のイノベーションが進むのです。

 

 

しかし、あまりにも解けない問題が多い。

これだけ情報が正しくなっても、

解けないのはおかしい。

こうなってくると、「危機」という状況になります。

 

 

こうなると、世の中は二分されます。

1.現在のパラダイムのもと、危機を乗り越えようと通常科学を極める人

2.新たなパラダイムを求めて、新しい理論の下、通常科学を進める人

 

 

2に移る人は、若い研究者や他分野からの新参者が多い。

長く現行のパラダイムの下で、通常科学を進めた人ほど1に属します。

なぜならば、新しいパラダイムに移行すると、

今まで積み重ねた研究は、

一から振出しに戻るからです。

 

 

これは当然のことで、前提が崩れれば、

その前提の下での結果は全て意味をなくすからです。

そして、2のグループが将来性を認められれば、

パラダイムは移行します。

このパラダイムが移行することを「科学革命」と言います。

 

 

つまり

「色々な学説がある」→「通常科学」→「一つのパラダイム制定」→「通常科学」→「危機」→「色々な学説」→「通常科学」→「パラダイム制定」...

という循環が科学には起こっているのです!!

 

 

そこには、決して一本道で進歩してきたわけではないのです。

 

 

なかなか興味深い内容でした。

長くなりましたが、終わります。